高津和彦のプレゼン分析――第5回

「あがり症」を攻略しよう(1)



「あがる」正体を知って、うまく味方につける。これを知っているのといないのとでは、「緊張」の意味が大きく違ってくる。



まず、「あがる」とはどんな状態か、考えてみましょう。
あがると、ドキドキする・やけに早口になる・体温が上昇したような感覚がある、といった状態になります。もっとあがっていると、手や声が震えたり、赤面、発汗、喉の渇きもあるでしょう。

プレゼンやスピーチなど、人前で話す時にあがるという人はとても多いのですが、この場合、一番やっかいなのは、
思考がパニック状態になること。何を話せばいいかわからない、自分が何を話しているかわからない、あとで記憶をたどっても自分が何を言っていたか思い出せない、いわゆる「頭が真っ白になる」状態に見まわれることです。

これは、脳が「普段とは違う」状況を認識して、
「いつもの自分」を忘れている状態です。
ちょうど動物が毛を逆立てて緊張している状態に似ていて、五感すべてを不安の対象に向けて、何かあれば「何も考えずに」動けるように体が備えているわけです。

よく「私はあがり症なんです」と、治らない病気のように言う受講生の方がいます。
でも、
実はあがり症という病気は存在しません。これは、不安に対する正常な自律神経の反応なんです。人によって程度の差こそあれ、誰にでも起こることです。
俗にいう「あがる」とは、この反応をコントロールできず、自分のしようとしていること(プレゼンやスピーチなど)に悪影響を及ぼしている状態です。

「緊張は正常な反応」ですから、克服するというものではありません。
いや、
プレゼンに臨むならばむしろ自ら緊張するべきなのです。家で寝転がってテレビを見ているかのような力の抜けただらだらしたプレゼンが、クライアントの心をとらえるわけがないんです。普段とは違う特別な状況なのですから、緊張してかまいません。

コントロールできる範囲におさめる方法さえ知っていれば、緊張は自らをピリリと引き締め、良い結果を生んでくれます。プレゼンには、ぜひ「心地よい緊張感」をもって臨んで下さい。

では、どうやってコントロールするのか――これには、ちょっとしたコツと、効果的なトレーニングがあります。

これについては、次回のコラムで。







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