「伝わる」の基本―2

こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。

「伝わる」の基本について、もう少し分析します。

 


最近、受講される多くの皆さんの傾向。
それは一つのセンテンスが、なかなか終わらないこと。

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「はいっ、えー、私は現在38歳で、IT関係の会社でシステム設計の仕事をさせて頂いておりまして、えー、日々お客様の所に出向いてですね、まぁ、システムの提案だったり企画だったり、まぁ、そういったものをさせて頂いておりまして、えー、それを社に持ち帰って、チームのメンバーに内容を伝えるといったような業務を行っていまして、まぁ、そのような仕事をもう5年ほどしていまして、えー、そんな中で人前で話す機会がどんどん増えて来たという状況の中で、まぁ、やはり一度話し方をきちんと勉強しないといけないんじゃないのかなぁというふうに思ったりするようになってきまして、本日ベストスピーカーに参りました。」

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これでワンセンテンス!
こんな自己紹介がよくある。

聴いてる人はどう思うだろう?
「もう聴きたくない!」って言うと思わない?


これはもう、「伝わる」以前の問題
 

この文の一番の問題。1文が長いこと。


解決法。
単文にする」。

文章をとにかく短く、切ろう切ろうとしよう。
そうすると限りなく短文になる。

つまり、「単文」だ。
「単文」とは、「○○は□□だ」の構造の文。

ちなみに「複文」は「~~の○○は□□だ」。
「重文」は「△△は××で、○○は□□だ」。
文の構造はこれら3種類に大別できる。


話を戻して。
さっきの自己紹介を単文にしてみよう。

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「私は現在38歳です。
IT関係の会社に勤務している。システム設計の仕事です。
日々お客様の所に出向く。システムの提案をします。
それを社に持ち帰る。チームのメンバーに内容を伝える。
この仕事をもう5年ほどしています。
そんな中で人前で話す機会がどんどん増えてきた。
話し方を勉強しないといけない。
それで本日ベストスピーカーに参りました。」

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格段に分かりやすい。
聴きやすい。

たとえば普通の会話を考えてみて。
ほとんどが単文。

だから、わかりやすい。
だから、伝わる。


さらにこのダラダラ文の、他の問題点。

それは、
まず、耳障り
伝えたいポイントがぼやける
そして、だんだん聞くのが嫌になってくる。

元々、長文にしてしまう人は「間」が怖くて無理に単文を続けて、わざわざ長文にしている。
そのため、その不自然さ自体が聞いてるうちに聞き手に見破られ、
そして聞くことすら拒否されてしまうのです。


なぜか。

1-不必要な言葉が、何回も出る:
 「えー」「まぁ」

2-不必要な丁寧語が、何回も出る:
 「させて頂いて」「おりまして」「~ていまして」「参りました」

3-内容を薄める言葉が、何回も出る:
「~てですね」「~だったり」「といったような」「そういったもの」
「じゃないのかなぁ」「というふうに」「思ったりするように」

4-文が終わらず次々に情報が出されるため、「そこまでは分かった」と
うなずきたくても、その「間」がない


上記の単文にした自己紹介を見直してみて下さい。
不要なものがすべて取れてるでしょう?
句点で文が区切られるから、文の間に時間的空間ができる。

だから、聞きやすい。
だから、伝わる。

だから、"単文"化だ。

 

【関連サイト】
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