“面白い”の構造

こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。

「なぜ何回も、同じ落語を人は聞きに行くのか」から、"面白い"の構造を分析します。

 


僕は落語を演じる。もう趣味の域は超えていると思う。
先月も2か所で演じた。
2回とも「さすがですね」と言われた。

僕には常に「しっかり評価を得るためにはちゃんとやらないと」という気がある。
でないと下手なアマだと思われてしまう。

プロの師匠から直に教わった僕としては、師匠の名を辱めないためにもそれは避けたい。
だから2回とも大きな拍手をもらえたことで安堵している。


実は依頼されたのは1か所からだけだった。

が、その1週間前にあった別の会合で、その会の主催者のAさんから、
「カタい話の講演がメインだから盛り上がらないかなぁ・・・」と相談されたのを受けて。
「じゃ、僕の落語でほぐしましょうか?」と言うと、
「ぜひぜひ!」と二つ返事。
Aさんは以前、僕の高座を見られてるので、信頼されてというのもあった。

ほんとは、その1週間後にある50人の別の集まり、つまり本番で上手く演じるために、
落語の仕上がり具合を、Aさんの会を借りてチェックをしたかったんだ。
このようにしっかりやろうと思うと行動が前向きになる。
リハーサル代わりにして、すみませ~ん、Aさん。


さて、ここからが本題。

「なぜ落語は同じお題、話でも、人は何回も聞きに行くのでしょう?


ストーリー、誰がやっても同じ。
オチ、みんなわかっている。
でも、面白い。
結果、笑う。


この質問した人、人を笑わせることの無い人だ。
「私の話はおもしろくない、初めて聞く話でも」
「なのに落語家は、同じ話で繰り返し誰でも笑わせる」
「この違いはいったい何?」

答え。
話の内容が面白いかどうかじゃないのです。
面白く話しているかどうかなのです。

"その人が面白い"のです。


僕の落語の師匠がよく言っていた。
落語通の人が、
「師匠、面白いネタありますよ、教えましょうか」とよく言ってくるんだって。
師匠 曰く、
「いら~ん」
「私が話すから面白いのであって、話が面白いんじゃないからや!」


これ、「落語」を「歌」に置き換えてみるとよくわかる。
"その歌"、誰でも歌ってる。あなたも。
歌詞、知ってるでしょ?
メロディ、知ってるでしょ?
知ってるけど、"その人"が歌う歌、何でも聞きたい、何度でも聞きたい。
知らない歌でも"その人"のだったら聞きたい。
知ってる歌なら、なおのこと聞きたい。
でも、"あの人"の歌は聞きたくない。

そういうことなんです。
理屈分かった?


じゃ、ここからが本題2。

どうすれば、面白く話せるか?
もっというと
「面白いと思わせるほど、"面白い人"になれるか」。


まず、あなたは自分を、「おもしろい!」と人に思わせる前に、
自分が、人を「おもしろい!」と思えますか?


これができない人が多い。
人に対して「ヘンっ!どこがおもしろい?」って思っている。
自分が思えないのに、人に自分のことを「おもしろい!」って思わせられる?
でしょ?
まず、自分が"人をおもしろいと思える態勢"に入っていることが大事。
そんな人は、何に対してもおもしろくない人です。


次に。
「どうすればあんなに面白く言えるんだろう?」って思えること。
そして、そのメカニズムを研究すること。
それから、その同じ話し方を、別の場でこっそりその通り言ってみて、
笑いを取れるかどうかを試してみる。

「・・・3ツ、4ツ、と。今、何時?」「8ツです」「9、10、11・・・」みたいに。
(これ分かる人は落語通ね)


そして。
どういうふうにこの場で言えば面白いかを、自分で考えること。
それを実行すること。
結果は即、相手に現れます。


だから僕はいつも受講生に言う。
「人の言ったことがおもしろかったら、すぐ笑って!」って。

それは、
「あなたは面白いと言ってもらいたいんでしょ?」
「だったら人に対してもすぐに反応できなきゃダメ」って。
「人にフーンと言ってるくせに、自分は拍手をもらおうって、虫が良すぎる!」って。

まずあなたが、すぐにその場で先頭切って、
「おっもしろーい!」「いいぞーっ!」って言えるようになりましょう。
そうすればその同じ反応が、次にあなたに回ってきますよ。


おもしろいことが言えたら。
人はあなたに寄ってきます。
面白いこと話してって。

そしてモテます。
 

 

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