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プレゼンテーション・話し方分析 [6]

「あがり症」を攻略しよう(2)

「あがり」を攻略するトレーニング方法が、実はある。まずは、「あがり」が起きるしくみを理解しよう。それだけでも、気持ちはぐんとラクになる。そして、過剰な緊張を「高揚感」という心強い味方に変えよう。

どうやって過度の緊張(=あがり)を「コントロールできる範囲」におさめるか――これには、コツとトレーニングによる2種類の方法があります。

まずは、コツについて。
先に、あがりを「五感を不安対象に向けて自分を忘れている」状態だと言いました。これを解いてニュートラルに近づけるには、五感に働きかけて「いつもの自分」を思い出させてやればいいんです。

例えば、何かを飲む。できれば、飲みなれた味のものがいいでしょう。味覚に「いつも」の味を与えれば、それをきっかけに落ち着くことがよくあります。
お気に入りのフレグランスをしみこませたハンカチを嗅いだり、親しい人や好きな風景の写真を見る、なども効果があります。
これをやれば緊張がほぐれる、と条件づけできたらしめたものです。

そういえば、あるテレビ番組でアーチェリー銀メダリストの山本博氏が試合中に息子さんの写真を見て負の緊張感をほぐしたというエピソードが紹介されていました。
視覚から緊張を解いた典型的な例ですね。

次に、トレーニングについてお話しましょう。
前回のコラムで、あがりは脳が「普段とは違う」状況を認識することによって起こる、と書きました。では、プレゼンやスピーチの場面で脳は何を「普段とは違う」と認識しているのでしょうか。
それは、下の6つのポイントからくる心理的圧迫によります。

  1. 距離による圧迫
    普通の会話とは違う距離感。人の前に出るのもそうですし、反対に至近距離に迫られても緊張します。
  2. 視線の高さによる圧迫
    壇上や舞台に立つのはもちろん、全員が座っている中で立って発表をするのも緊張するものです。
  3. 環境による圧迫
    家での練習ではちゃんとできたプレゼンも、会議室やクライアントのところへ出向くとうまくいかないのは、いつもの環境とは違うという認識=「アウェイ」の心理が働くためです。
  4. 人数による圧迫
    1対1なら普通に話せるのに、1人で10人に話すと緊張しますよね。20人ぐらいの前でプレゼンをするのは慣れている、という人でも、500人の前でならあがります。
  5. 相手の質による圧迫
    いつも話している同僚ではなく、お偉方や大事なクライアントだから緊張するのです。外国人や有名なスターと話すとしたら、普段の心理状態でいられないのと同じです。
  6. 失敗への不安による圧迫
    普段の会話でなら、言おうとしたことをド忘れしても「ごめん」と笑えます。でも、プレゼンやスピーチの場面だと「失敗するわけにはいかない」とプレッシャーがかかるために、緊張するのです。

要は、あがらずにプレゼンやスピーチをするためには、これらに過剰反応しない訓練をすればいいわけです。
よく、「結局は慣れるしかない」と言う指導者がいます。
真理ではありますが、それが簡単にできるのなら誰も苦労はしませんし、大人数のお偉方の前で舞台に上がって・・・という機会など、そうはありません。

僕は、特に1.と2.の圧迫要素に注目して「あがり攻略」のトレーニング方法を考えました。1~6の中で、この2つが最も心理的な圧迫が大きく、克服しにくいからです。

例えば、多人数の前に立って話すことに慣れている先生でも、大きなホールの舞台に立てばあがります。目の前に人がいないのに平常心で話すことは不自然であり、心理的圧迫(=「普段と違う」という認識)は聴衆との距離・視線の高さに比例するのです。
離れた聴衆に対して、距離に相応の話し方ができるようになると、人前で話す不安感はかなり解消されます。そうなると、心理面による部分の大きい3.~6.は比較的簡単にクリアできます。

そして編み出した「あがり攻略」トレーニング方法は、この圧迫要素をわざと作り出して、その中で無理なく話せるようにする、というものでした。
具体的な詳細は体験してみないとわかりづらいので割愛しますが、受講生の方には「おもしろかった」「すごく楽しい」と言ってもらっています。
圧迫要素を与えつつも、負の体験にならないように・活気にあふれた雰囲気の中で楽しみながら自信をつけられるようにと、色々と工夫をしたかいがありました。


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