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高津和彦のプレゼンテーション分析 [12]

高津が見た、NHK めざせ!会社の星
「プレゼンは任せなさい!」(1)

まず、この番組をご覧になっていない方々のために、内容を簡単に説明します。
お笑いタレント・アンジャッシュの2人が司会をするこの番組は、毎回、若手ビジネスマンの”本音の声”を元に制作されています。
プレゼンをテーマにした今回は、プレゼンが得意な人・苦手な人それぞれの仕事ぶりを紹介し、得意な人から学ぶべき点にライトをあてたり、苦手な人の克服への道を探ったりして、プレゼンを成功させるにはどうすればいいかを追求しています。

重役へのプレゼンをする、メーカー勤務の山本さん。
まずは、この方のプレゼンについて、考えてみましょう。

彼女は、とにかくあがってしまうのだそうです。
そして、何を言っていいかわからなくなってしまう、と。

そこで、あがり症対策講座に通い、プレゼンの原稿を書いて丸暗記する、という方法でプレゼンをしようとします。そしてプレゼン間際になって「持ち時間を4分から3分にしてくれ」と言われるアクシデントが。
ギリギリまで原稿を削る作業に気をとられ、通して読む練習をする時間もなく、プレゼンはうまくいきませんでした。

山本さんが、プレゼンを成功させることができなかったのは、なぜでしょう?

僕の分析は、こうです。
原因は、「あがる」ことに気をとられて「あがって」しまったこと。

あがることを恐れて、あがり症対策講座に行っていますが、彼女の場合には、これは方向違いです。深呼吸をして筋緊張をほぐすことを学ぶより、プレゼン自体を、自信を持って臨めるものにすることの方が先決であり重要だと、僕は思います。

忘れると困るから、と原稿をきっちり書きますが、これも自信のなさの表れであり、また原稿を思い出すことでいっぱいいっぱいになってしまって、読み上げているのを中断して質問されたり、今回のようなアクシデントがあった場合に、対応しきれず動揺して、悪循環に陥ってしまいます。

見たところ、山本さんは、一生懸命だし、プレゼンに対する情熱もあります。
だから、すごくもったいないと思いました。

「4分を3分に」と言われた時、山本さんは心の中で
「えーっ!こんなに一生懸命用意したのに。これでやりたい!」と思ったはず。
でも「私に、あと1分ください!全部聞いていただきたいんです!!」と言えなかった。
プレゼンへの情熱を伝えられず、結果的に「その程度」と思われてしまった。
山本さんが学ぶべきなのは、その情熱・やる気を表現する術なんです。

説得力のある声・表情・動作などのテクニックを身に付け「よし、やるぞ!」という気持ちを媒体にしてプレゼンへの情熱とリンクさせれば、プレゼンへの恐怖感はぐっと減ります。
それが、プラスのスパイラル効果になってプレゼンのやり方も「原稿暗記」から脱出し、大きく変化するはず。

最も重要な【Mind】の要素があるんだから、表現さえできれば、山本さんのプレゼンは一気によくなります。

(プレゼンテーション分析11「成功するプレゼンの要素と優先順位」を参照)

プレゼンが得意だという、行方さん。

彼の一番の強みは、この一言に表れています。
「自らプレゼンを楽しんでいます!」
楽しんでやっている人ほど、強いものはありません。プレゼン成功に最も重要な、情熱にあふれた言葉です。
行方さんならきっと、プレゼン途中で「時間ないから、そろそろ切り上げて」と言われても
「もう少し、最後までやらせて下さい。損はさせません!」ぐらいのことが言えるでしょう。

皆さんは、どうですか?それほどの情熱がありますか?

また、行方さんのプレゼン手法は、読み原稿を準備しません。
「最低限、この3つが言えたらいい。これをわかってもらえるなら連呼したいぐらい」と言います。実に明快です。
だからこそ、相手にも大事なポイントがわかりやすいプレゼンになります。
伝えたいことがハッキリしていて、なおかつ、伝えたいという気持ちが強いので、自然に「この順番でいこう」「こういう風に説明しよう」と、説得力のある構成もできるのです。

また、彼は聞き手に対して「こちらです、見てください!」「教えて下さい、大きいですか?小さいですか?」などと、どんどん聞き手を巻き込んで進めていきます。ここも、山本さんと違うところ。
聞き手を含めて、プレゼンを作っている――つまり、聞き手を忘れてプレゼンしてはならない、ということをよく知っているのです。