高津和彦のプレゼン分析――第16回

高津和彦インタビュー
「プレゼンがうまくなる魔法」(3)



インタビュー形式で高津和彦が語る、プレゼンの本質。
自分で自分のプレゼンを台無しにしてしまう「悪い魔法」にかからないためには?



――プレゼンをダメにする「悪い魔法」なんて、ちょっと怖そうなお話ですね・・・それは、どんなものなんですか?

根本的な原因は、先ほど話した「いい魔法」がちゃんとできていないことです。

入れこみが足りない、あるいはそれを伝えるという本来の目的を忘れて、「かっこよく見せよう」「賢そうに見せよう」ということを目的のように思ってしまう。

だから一見、危なげなくかっこよくプレゼンできたと思ったのに、結果的には「商品の名前と内容を紹介した」以上の印象が何も残っていない、というようなことがあるんです。

例えば
「このサービスを使えば、ユーザー同士の情報の相互通行の促進化により、加速度的に質量とも充実することにより総じてユーザーの 生活情報クオリティ向上に多大な貢献が可能となります」
というようなプレゼンをする。
こんなことをスラスラと言ったら、とてもスマートなプレゼンターに見えるかもしれません。

でも、「ああ、こりゃいいサービスだな!」って、心に響いてきますか
プレゼンしてる人はなんとなく頭よさそうに見えるけど、説明してる商品については「へえ〜・・・」で終わってしまいませんか?


――確かに「すごいことを言ってる」感じはしますが、「ふぅ〜ん」って聞き流してしまいますね・・・。

こう言ってみたら、どうです?
「このサービスを使えば、利用者Aさんが『これ便利だよ』とすすんでみんなに教えてあげることができる、するとBさん・Cさん・その他 たくさんの人も『こんな使い方もあるよ』『じゃあ私もオススメ教えてあげる!』とお互いに教えあい、利用者全体の情報がどんどん増えて、 みんなの生活に役立つ情報を豊かにすることができます」

頭に、絵が浮かぶというか、わかりやすいでしょう?
わかるということは、記憶に残りやすいし、その良さもちゃんと伝わっているということです。

この例は、あらかじめ原稿を一言一句準備しようとする人が陥りやすいパターンです。
原稿の段階では漢字で見ているから観念的な熟語もわかったような気になってしまう。 パソコンだと、自分の中で意味や概念があやふやな言葉でも音さえ聞いたことがあれば変換してくれるから、どんどん使ってしまう。

書き言葉でプレゼンすると、どうしても説得力・臨場感にかけるのは、こういうことなんです。


――では、原稿を作らずに組立てだけ考えておいて、その場で話せば大丈夫ですね?

そうとも限りませんよ。
さっきも言ったように、「かっこよく見せよう」「賢そうに見せよう」優先だと、話し言葉でも全くダメです。

特に、へり下った丁寧な表現がクセになっている人は、スラスラ話せても「悪い魔法」に要注意です。


――丁寧な表現が、どういけないんでしょうか?

今日、インタビューの初めに「プレゼンがうまくなる魔法ってあるんですか?」と質問した時のこと、覚えてます?
僕が答えたら、「いったいどんな魔法ですか」って、身を乗り出すように聞いてきたでしょ(笑)
あの時、僕はこう言いました。

(魔法というのは大げさかもしれませんが)――と少し落として、
(特別な訓練が必要ない、すぐにできる、効果が高い)とシンプルに列挙
そして(魔法と言っても過言ではないポイントは――) と呼吸をおいて
(――あります!)って強く言い切る

さらに、(プレゼンの説得力・訴求力・インパクトが全く違うポイント、知りたいですか?) と、あなたに振ったんです。


――ああ、そうそう、そうでした。それで、すごく知りたい!って思って質問したんです。

もし僕が
「魔法と申しましては多少言いすぎの感がおありになる方もおられるのではないかなぁと懸念いたしますが、魔法に近いような カタチとも言える理由が3点ございますので、述べさせていただきます。
それはですね、これを行うに際して特別な訓練をしていただく必要が ないということ、どなたにでもすぐに実行していただくことが可能であるということ、そして効果が高いということです。 これをご存知いただいている方と、ご存知いただいてない方とでは、プレゼンというものにおきまして、その説得力・訴求力・インパクト といったような点で、全く違ったものになってくるのではないかと、このように考えております。」

って、サラサラ言ってたら、どうだったんでしょう?(笑)
きっと、あなたはインタビュアーとして義務的に「そうですか。では、そこのところを詳細にお願いします」とか言ってたんじゃないですか?


――全くその通りです! 上手に聞こえるんだけどなぁ・・・(苦笑)
これはダメってことが、今のでよくわかりました。


立て板に水、で話すのが「いいプレゼン」とイコールではないんですよ。
サラサラ入ってくる音は、反対側の耳から、サラサラ出ていっちゃう。環境音楽みたいに、ちょうどいい感じで眠くなるプレゼンって、あるでしょ?(笑)

自分の入れこみを伝えたい!聞いて欲しい!と思ってプロデュースするなら、決してこんなプレゼンになりませんよね。

熱意の伝わる話し方、そして、その根本に本物の熱意があること

これが、プレゼンの本質であり、最も重要なことです。
プレゼンがうまくなる魔法は、まず自分から「プレゼンするものに入れこむ」こと、そして「あなたのプレゼンはあなたのもの」と 肝に銘じること、この2つです。

よく効く魔法ですが、これはほんのスタートです。
いいプレゼンを目指す人は、もっといろんな勉強をしていって下さい!





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