こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。
先日読んだ本から感じた、僕の問題提起です。
コリン・パウエルの著書を読んだ。
「リ-ダーを目指す人の心得」
	
	ご存じだと思うが、パウエル氏はブッシュ政権第1期目の国務長官。
	黒人として初めて大将となり、のちに米軍トップの統合参謀本部議長に最年少で就任。
	
	で、その著書の中での話。
	新兵はまず、民間のどんな組織よりも厳しく、規律を叩き込まれる。
	上官に答えるには3つの言葉のみ。
	 Yes sir.
	 No sir.
	 I understand sir.
	
	そして、この厳しい基礎訓練の過程で、当初の上官に対する憎しみが、上官に喜んでもらおうとする気持ちに変わるというのだ。
	つまり上官の厳しさの根底には愛があることを悟るから。
	ある時、国務長官であるパウエル氏は陸軍防空砲兵学校へ視察に行く。
	そこでパトリオットミサイルの説明を受ける。
	担当者は19歳くらいにしか見えない兵士。
	
	まず、彼と雑談。
	そこで自分と同じニューヨークの公立高校の後輩だと知る。
	しかも彼はストリートキッドだったという。
	そして、彼から説明を受ける。
	何についても淀みなく説明する。入隊後たった18ヶ月だというのに。
	
	パウエル氏は本当に彼が理解して話しているのか、丸暗記なのかを確かめたくなった。
	そこここに質問を投げかけ、わざと説明を遮る。
	が、いくら中断されても、またサッと本題に戻り続きを説明する。
	本当にすべて理解してしゃべっているのだ。
	
	パウエル氏曰く、
	「これは別に驚く話ではない。ただ、この兵士の若さを除いては。」
説明が終わって「よくやった」と彼を褒めた。
	彼がその場を去った後、パウエル氏がふっと振り返ると。
	そこには担当上官とハイタッチし仲間に囲まれるその兵士がいた。
	
	ここで僕が重視するのはその兵士の話し方。
	19歳で「お偉方」に対し、こんなに満足のいく説明ができる。
	その強い心。
	
	かたや日頃ベストスピーカーの講座で見る日本人の話し方、
	おどおど、手もみ、秘匿、不要敬語のオンパレード。
	いったい何を言いたいのか。
	(それを僕は直していってるのだが)
	
	ここでこの話から、今まさに思い出した。
	あるベストスピーカー受講生、来られた時はもうしどろもどろの話し方。
	自社工場への訪問者に対して案内する仕事だという。
	
	それが、何回か受講された後、彼からメールが来た。
	「先生、先日訪問者の人に『君みたいな人にウチの会社に来てほしいよ』って言われましたよ!」
	誇らしげだった。
	
	結論。
	人は話し方で判断される。
	はたして日本ではこの若い新兵の様な人がいるだろうか。
	自衛隊には居ると確信したい。同じ軍隊として。
	
	そして、社会においてもそうであってほしい。
	こういう若い人であふれてほしい。
	もちろん老若男女すべての人も。
そう念じて僕は日々指導にあたっている。
	平和平和でボケている場合ではないのだ。
	人の言葉の揚げ足を取って大騒ぎしている場合ではないのだ。