“言葉で言える”技術を発揮しよう

こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。

今回は、あるTV番組を分析して得た考えをお話します。

 


過日、テレビ番組を見ていて。
その中でのナレーション。

(1)「あのXXXXさんにフォームをチェックされるなんて」
(2)「いったい何を言われるのだろう」
(3)「怖いやー」
(4)「XXXXさんから褒められていました」
(5)「○○くん、良かったね」
 
あなたは、この口調をどう捉えますか?
XXXXさんと○○くん、いったいどういう関係の2人?

 
僕ならこう言う。
 

#(1)「XXXXさんはフォームを見ます」
#(2)「どうコメントするでしょうか」
#(3)「楽しみです」
#(4)「XXXXさんは良い評価をしました」
#(5)「○○くん、良くやった」

 
ではよ~く、一つ一つの言を比べてみて下さい。
 
(1)は受け身、それも恐怖心からの言葉。
#(1)は公平な事実を述べた言葉。

(2)も受け身、恐怖心だ。
#(2)は公平な言。

(3)はそれを受けての本人の言。「怖い」んだ。
#(3)は「期待感」。この心の違い。

(4)は明らかに身分が下の人の言。
#(5)は公平な言。

(5)は安堵感、上から褒められての。
#(5)はそれとは関係なく、前向きの言。

 
さて、この番組の”実際”を開示します。
 
番組名、NHK Eテレ「奇跡のレッスン」。
XXXXさんは、ランディ・ジョンソン、MLBの元大スターピッチャー
○○くんは、都内の中学生、野球選手、普通の1中学生。
ランディがピッチャーの卵たちにその技術を8日間で教えるというもの。
 
で、このナレーションをどう感じましたか、みなさんは?
視点が歪んでいないだろうか。
どうしてこう、おっかなびっくりの視点から見るのだろうか?
 
ランディと中学生、この2人の格差、
この差はしようがない。
年が、経歴が、立場が、教えるか教えられるか、が違うから。
 
しかし、こんな恐怖的、隷属的、卑屈的なナレーションはないだろう。
対等に見るべきじゃないか?
 
なぜ、こんなナレーションになってしまうか。
 
それは、日本の、社会的、教育的、すべての環境が、この制作者をしてこの言を言わせているのです。
こんな卑屈になるような言を公共放送で流して何とも思わないような。
 
上にモノが言えない、長幼の序と長い物に巻かれろの錯誤。
謙虚と意気地無し、従順と無気力、慎重と臆病のはき違え。
 
これらが現代の日本人の話し方を、その心を制限しているのです。

 
話し方を教える私としては、
 
1-話す前に、お互いの立場を対等にして、
2-自分の心を正しく公平にして、
3-そして、自分が臆することない気持ちを作って、
4-その上で、“言葉で言える”技術を教えます。
 
しかし、いくら私が4-をしっかり教えても、
教えられる側の心が「私は下だから」と思ってしまえば、
1から3までのベースが心に定まらないので、
“言葉で言える”その技術が発揮されることは、絶対にない。

 
常に「対等である自分」を確立しましょう。
そして自己の心を正して奮起しよう!
 
 

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