「伝わらない」分析 -1

こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。
皆さんがよく言われる「伝わらない」現象について、2回にわたって分析しましょう。
 


ベストスピーカーセミナーに来られる皆さんの問題点として「伝わらない」がある。
これ自体は曖昧な言葉だ。

実際どういうことなのか?
それは、自分が何かを言った時、「期待した反応が相手から返ってこない」ということだ。


簡単な例として、「がんばる!」と言った時。

相手から、
「私もがんばる!」と返ってくれば"伝わっている"、
「ふ~ん、そう。」なら"伝わっていない"。

たとえば、「私はいやだよ」。
これは反発されてはいるが、自分の意志は確実に相手に伝わっている。
ただ相手が、負の反応をしたということ。それはしようがない。


では、なぜ「伝わらない」のか。

 

それは、
1-自己の思いが弱いから。

そして、それに伴って、
2-言葉の表現が弱いから。


まず1-。
思いが弱いと「がんばれるかなぁ…」という程度の「気」。
そうすると、2-。
「がんばれたらなと…」という言葉になる。

そうすると相手は「そう・・・、まず自分でよく考えてね~」となる。
よっぽど近しければ「あなたならできるって!」と励ましてくれるが、遠い関係ならそうはならない。
結果、思いは伝わらない。


昨今、社会全般の問題点は、何ごとにおいても「がんばれるかな…」という心理状態が蔓延していることにある。
それは、「ストレートに言うと軋轢を生じる」社会的風潮が、「言葉を弱く言う」状況を生んでいるからだ。


たとえば、「がんばる」というところが、1ランク低い「がんばろうと思います」になる。
なんでも動詞に、「と思います」をセットで付ける。

1ランク低いのが、「~と思います」だとすると、

2ランク低い「~してみたいと思います」
3ランク低い「~してみたいと思ってはいます」
4ランク低い「~してみたいというふうに思ってはいます」
5ランク低い「~してみたいというふうに思ってはいるんですけれども」

ここまでくると、もうかなり「頑張っても無理だ」に近い。

言葉をふだんから、"5ランク低いレベル"で話している人は当然、人前でもそう話すだろう。
そんな弱い言葉が、弱い意志が、聞き手に受け入れられるわけがない。
だから伝わらない。


僕は、何でもかんでも、「がんばる!」と強く言い切れと言っているのではない。
が、「これだけは絶対伝えたい!」時には、強く言い切ることが必要ということなのだ。


さらに次回に分析を続けます。

 

【関連サイト】
"伝わるスピーチスキル"向上セミナー ベストスピーカー