ポジティブ思考を”枠内”に

こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。

今回はポジティブ思考についての提言です。
 


前回、集団における「牽引車」の重要性について書いた。
グループの中での「牽引車」の存在が、その集団を活性化させるという。

で、あなたはそのブログを見てから今日まで、自らの行動にその片鱗を見出せただろうか?
また、どこかでそうなれるよう頑張っただろうか?


牽引車になれる人は、考え方自体も前向きな人。
行動が前向きなら、考え方もポジティブ。
 

よくみんな「元気をもらった」って言うでしょう?

それは自分の考え方の「枠外」の前向きな考えに接して、
話し方を含むその人の前向きな行動、またはその片鱗を目の当たりに見たからだ。

その「枠外」は、"枠内の考え方”をしていると気付くことが難しい。


僕は講座の中で、
「その言い方をポジティブに言うとどうなる?」ってよく聞く。
ちょっとポジティブなことばが出てくる。

僕は「もっとポジティブに!」って言う。
すると、その表現の質、度合いがだんだん上がってくる。


例えば、よく授業の最初にみんなが言うのは、
「プレゼンやらなきゃいけなくなったんです・・・」

で、僕は言う。
「ポジティブに言ってみよう!」と。


すると
「プレゼンすることになったんです」、
もっと言うと、「プレゼンするんです」、
さらに加えて、「すごいでしょ!やりますよ!」。
最高は、「絶対キメてやる!!」。

こう言えたら、それがポジティブなんだよと。


では、ポジティブに言えない原因は何だろう。

そりゃあプレゼンやるのが嫌だっていう考えは少なからずある。
しかし、今の日本に蔓延する、謙虚、礼節、控えめ、相手を立てる、人に譲る、・・・。
(あといくらでもあるが)
これら、"あまり自分のことを良く言ってはならない"精神の裏返しなのだ。

このことを強く感じさせられた、あるテレビ番組。
外人コーチが日本の学生にスポーツ指導し、短期間でプレイの質を高めるというもの。
当然、今までやったことの無いトレーニングを、学生たちにどんどんぶつけていく。

その中の番組ナレーション自体、既にネガティブ。
「さあ、XX君、うまくできるんでしょうか?」

どうして、
「きっとできる!」
「力いっぱい頑張ろう!」
と言えないのだろうか。


そして外人コーチが、指導の成果で急速に進歩した子にエースポジションを与える
直前場面で、予告的にナレーションが入る。

「このあと、大変なことが!」

どう?
このネガティブ表現。

なぜ、
「このあと、すごいチャンスが舞い込んでくる!」
って言わない? 言えない?

また別の場面。
学生選手同士でコミュニケーションがうまく取れないのをコーチが指導していて。

「なかなかポジティブ表現ができません・・・」

だって、ナレーション自体からしてそうでしょ?


どうしてこんな番組ナレーションになるのか?
それは制作を担当する人間がそう育って、そう教育されてきているからです。

家で、学校で、社会で、国で。

だからそういう表現のナレーション原稿を作る、
それを不安げな声でアナウンサーが言う。
それが全国に放映される。
その結果、文化がネガティブになってくるのだ。


「できるんでしょうか・・・」を「やりましょう!」と言ってほしい。

そのちょっとの差が、心に刷り込まれていくのです。
言葉が分かってきた子供時代から、その先ずっと大人時代まで。


僕は学生時代、海外での教育を通じて、ポジティブ表現を刷り込まれ、それを実行し、
今、講座でも教えている。
だからこんなちょっとした表現にでも、ピンと鋭く反応してしまいます。

普通の人なら、
「ま、そんな些細なことに目くじら立てずに」
って言ってしまいそうなこと。

でもそれはポジティブな表現で教育されてきた僕にとっての「枠外」の表現だから。


みなさん、考え方をポジティブにもって行こう。
自分の”枠内”にしよう。

なぜ?


それは、"生きていること自体がポジティブ"だからです。 
 

 

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