こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。
今回は、みなさんからよく質問頂く「手振り」についての考察です。
僕はビジネスパーソンだけではなく、近年、政治家の方たちもしばしば指導する。
国政レベルから市・区・町に至るまで。
指導していて感じること。
スピーチのレベルは全体的に上がってきている。
おそらくこれまでも話し方の指導を受けたのだろう。
現に私も指導しているのだから。
さて今回は。
演説指導で気づいた"不自然性"について分析します。
それは、手振り。
例えばテレビでの政権演説。
一昔前までは、マイクを持って直立不動。
「ほぼ動かない」が大半を占めていた。
それが最近、特に手の動きが目立つ。それは、
「手が動けば、印象が良い」
という考え方が広まってきたからだろう。
それは欧米の政治家の映像が頻繁に流され、その動きが良いとされてきているから。
確かに彼らの動きは躍動的、魅力的だ。
彼らにとっては「身ぶり豊かに伝える」が文化の一つとなっているので非常に自然なのだ。
日本もそれに倣って、
「手振りをすれば見映えするから動け」
と指導されて、とにかく動く。
今までどちらかというと大人しい静かな日本の文化の中で、
また実生活で身振りを全くやっていない人が動きをやるから、
それがしっくりこない。
言われてやるもんだから、取って付けたような、一定の同じ動きしかできない。
ヘンに大きすぎる。
単調。
これらは"不自然"へとつながっていく。
だから目につく。
逆に"ダメ感"が出てしまうのです。
また話す言葉に気が出ていないのに、身振り手振りだけをやろうとするから不自然になる。
身振り手振りとは、話をしていて気がそれだけでは収まらず、思わず手も身体も動いてしまうというものなんだ。
そこまでして、手足を動かしてでも、表現したいということなんだ。
知らない間に手が動いている、ということは気が出ているということだから。
緊張?
そんなレベルの人は、身振り手振りより前に、まず人前に立たない方が良い。
ダメだと思われるだけだから。
たとえば、テレビカメラの前に立つ。
スポットライトが浴びせられる。
普段より断とつランクアップ、とびっきりのスーツだ。
それだけでもう緊張する。
声が出ない。
時計が時間を刻む。
ディレクターが居る。
関係者がわんさか見ている。
シーンと静寂が漂う。
その中でたった一人で話す。
人から「動け」と言われて、いやおうなく「動かなきゃ~」レベルの人が。
自然な手振りなんか、できるわけない。
しかし、そんな厳しい圧迫の中でもやらなきゃいけない人。
デキる人になるにはどうしたらいいか?
それには、
「やってやる!」
「とにかく俺に言わせろ!」
「よく俺を見ていろ!聞け!」
くらいの気を持たないとダメなのです。
自然な手振り身振りをしたい人、自分自身で判断して下さい。
はたして自分は、
「言いたい!」で言っているのか、
「言わなきゃ・・・」で言っているのか。
前者は自然、後者は不自然。
それが決定ポイントです。
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