「流暢な話し方」を目指す?

こんにちは、スピーチトレーナー高津和彦(こうずかずひこ)です。

ベストスピーカー/ベストプレゼンの受講生から頻繁に聞くこと。
「『流暢』に話せるようになりたいんです」。
今回はこれについて考察します。

 


自分のなりたい姿。
それは「流暢に話せること」と言う人が結構いる。

スラスラ話したい。
スムーズに話したい。
淀みなく話したい。

これらみんな、流暢と同じイメージだ。


確かに「立て板に水」という言葉もある。

しかしこれは僕は絶対に奨めない。
これを目標にしてはいけない。

 

なぜか?

"流暢"とは話す人を横から眺めた姿。
これは話すの本質「伝わるか?」の視点から見ると、どうでもいいことなのだ。

 

しかし世間では「流暢・スムーズが目標」が蔓延している。

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先日、ある専門学校講師Aさんがベストスピーカーを受講された。
「流暢に話さねばならない」と、最初に目標を言ってくれた。

ちょっと気負いがある話し方。
確かに流暢では全然ない。
だが内容はしっかりと把握できる。

なぜそんな話し方になるのだろうか。


Aさん曰く、
「生徒さんを教える時は、専門用語がたくさん出てくるから、
わかってもらおうとすると単語ごとについ力が入ってしまう」と。

それを上司に指摘されて、
「もっと流暢にしゃべれるようになるまで練習しろ」
と言われているという。


しかし。

「むえんせきせいほう ひかくさんけいかがくちょうみりょう
ふしようのかこうしょくひん」

こんなお経みたいな流暢な発声が耳に聞こえてきて、それを瞬時に、
(その後の言葉もどんどん流暢に耳に流れてくるから、本当に即座に)

ああ、それは、
「無塩せき製法・非核酸系化学調味料不使用の加工食品」
だとわかりますか?


これを一度耳で聞いて、音声だけで瞬時に理解できる人はいない。
専門家でもパッと見て、「えっ?!ちょっと待って!」
と立ち止まらなきゃ理解できませんよね。

そもそも「無塩せき製法・非核酸系化学調味料不使用の加工食品」は書き言葉の文章。
耳で聞かせて分かる「話し言葉」ではない。
分からせようといくら区切って話したとしても分かるわけはない。


「無塩せき製法、この製法は後で説明しますが、
核酸が原料となる化学調味料は、使っていないという、
そんな加工食品、おわかりですか~?」


できるだけ和語、訓読みの言葉で説明すると理解されるのだ。
そして、耳慣れない用語はゆっくりはっきり話す。

 


僕はいつも言っているが、耳で聞く漢字の瞬時理解力は4文字熟語まで

例えば、
「せんもんがっこう」まで。
それ以上になると、聞く方は一瞬、理解できずうろたえる。

「せんもんがっこうこうし」

それは瞬間、
講師?
公私?
行使?
が浮かび、それを即座に判断して正解を出さねばならないから。


話し言葉では絶対に漢字4字まで

それ以上は、「間」を取る

または助詞を入れる
「専門学校の講師」というふうに。


スピーチ、プレゼンテーションをする人。
このことを肝に銘じてください。

 

 

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